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ZXR400の倒立フロントフォーク オーバーホール

ついにこの時がやってきました。
倒立フォークの一番痛いトラブル、オイル漏れ・・・
正立フォークなら軽くばらしてオイルシール叩き込むだけなんですが、倒立だとめんどくさい。
しかも倒立だと漏れたオイルがそのままブレーキ周りに・・・悲惨
オーバーホールも悲惨で、まず分解がめんどくさい。特殊工具のオンパレード。
でも貧乏学生なので買えないから、その辺の工具でやってみようのコーナー!

ただしサービスマニュアルは必携です。メンテは自己責任で。

まずは分解!

ジャッキアップする前に、まずはキャリパー外して、各部ボルトを適当に緩める。
忘れやすいのは

ジャッキアップは普通にエンジンの下でやろうとしたら倒れそうになるんで、ええかんじのところを見つけること!
ジャッキアップしたらタイヤ外して(アクスルは中空で、外すには12の六角が必要)、フォークを抜き取る。重いので注意。
出来ればホコリとかの少ない部屋などに移動・・・

ここで注意!オーバーホールをする部屋には新聞紙などを敷き詰めてオイル対策を!
絶対にオイルが飛び散ります!僕は1mくらいの油柱が上がって悲惨な事態になりました(--

ひたすらバラス!
えっと、イニシャルとダンパーの調整を最弱にしておくとあとが楽です。
まずはトッププラグをアウターから取る。くるくるー

ここでホームセンター工具その1登場!
この特殊工具は左下のような感じのもの。棚用のL型アングル材。NSR50のエンジンスタンドに使ってたのをばらしました。

特殊工具の真中あたりについてるボルト(僕はM6つこた)をカラーの穴にいれて、右上のようにごるああああああ!!!っとカラーを押し下げます。
メインスプリングの力に勝つのです!約5センチは下げなきゃならん!全体重をかけるのだ!
ちなみに写真はばらしたあとにスプリング入れずに撮ったものなんで普通ですが、作業中は太ももと左手で特殊工具を押さえつけ、右手でスパナを構えるといった非常事態です。
しかも、力尽きてメインスプリングの言いなりになって戻っていくと、そのときにトッププラグ横からオイルがピューっと出ます。これまた非常事態


んで、5cmくらい押し下げたらピストンロッドナットが顔を出すのでここぞとばかりに14mmのスパナをさします。
プルプル震えながら17mmのスパナでトッププラグの下部にあるナットを緩める!
ミスってメインスプリングの言いなりになると強力なオイル噴水!

なんとか緩めたら、トッププラグをくるくる回して取って、ゆーっくりと力を緩め、カラーを抜き取ります。
すばやく戻すとオイルが(以下略

できれば一発で終えたい作業です。これが倒立フォークのOHで一番大変な作業かも・・・
たまたま無かったんで人力でしたが、普通の人はタイダウンを使ったほうがいいと思います。
オイルに注意。ひたすら注意。

カラーが抜けたらこっちのもん。
さかさまにしてパットにオイルを出してやれば一緒にメインスプリングも出てきます。
おまえのせいで俺の部屋がグチャグチャになったんや!と切れながら洗浄しませう。

次に、インナーチューブ底部のアレンボルトとガスケットを外す。
これを緩めるにはロングヘキサがいるんで注意。
緩めたらピストン・シリンダユニットを取り出す。丁寧に。こいつは分解できません。

次はダストシールとリテイニングリング(オイルシールの抜け止めね)をアウターチューブから外す。
ここからはまた力技!
インナーチューブとアウターチューブをしっかり持って、引き抜く方向にカーン!カーンと引っ張る!
おら、カーンカーン!すぽっ!てな具合でアウターチューブとインナーチューブが分離します。
固いのはブッシュとオイルシールが圧乳じゃなくて圧入されてるから。
本来はココにもフォークアウタチューブウェイトっつー特殊工具を使います。
これはいらんかな。手でできるし。

オイルシールやブッシュ類をインナーチューブからはずして、分解完了!
分解するときははいってた方向をメモっておこう!

左は構成部品全部、右はトッププラグの底部。
真中が減衰調整のとこで、3つのちっさいポッチがイニシャル調整。
ポッチがせり出てきてスプリングのカラーを押すわけね。ふむふむ。

外した部品をひたすらパーツクリーナーで洗浄。ブシュー
ここまでで、作業の約1/4が終了したと考えてください。特殊工具無い人は。ある人は次の工程がラク。

さあ組むぞ!と気合を入れてまずはサランラップを取りに台所へ走りましょう。
取ってきたら、インナーチューブの先にかぶせます。オイルシールのリップを痛めないために。
んでから外したのと逆順でシールやブッシュを入れていきます。順番は

  1. ダストシール
  2. リテイニングリング
  3. オイルシール(基本どおり、字が書いてあるほうが外側。つまりフォークの底側)
  4. サランラップ取る
  5. ワッシャ
  6. アウターチューブガイドブッシュ
  7. インナーチューブガイドブッシュ

ここでホームセンター特殊工具その2!
オイルシールドライバ!(ドラえもん風)
マル40塩ビパイプ用の継ぎ手を左下のように加工。
内径が40くらいなんで、インナーチューブの径(41)に合うくらいに削る。外側もちょっと削る。
打ち込んだあとにインナーチューブから外せないとダメなんで1/3くらいをカット。できあがり。
でも、これは買ったほうがいいです。こいつでやっても出来たけど、かなり疲れます。

右上のようにしてアウターチューブガイドブッシュを打ち込む(撮影用に組んだんでなんも付いてないけど、本来はシール類が付いてるはず)
ガンガン打ち込む!ごるぁぁ!親のカタキ!これは妹の分!これはポチの分!これは・・・
と、江戸時代までさかのぼりそうなくらいいろんな人のカタキを果たしてると、入ります。
あらかじめどのくらいでオイルシール打ち込み完了なんかをノギスを使って図ったり、計算しておくべきです。

次に同じ塩ビパイプの切れ端でオイルシールの打ち込み!ブッシュよりキツイです。
均等に打ち込まないと一生入りません。
傷つけると全部やり直し。
僕は1.5時間くらい格闘しました。泣けます。疲れます。

打ち込めたら、リテイニングリングをはめ、ダストシールを取り付け。

ピストン・シリンダユニットを取り付ける。そこのカップも忘れずに
メインスプリング入れる。
フォークオイル入れる。

ピストンロッドナットの先っぽにタイラップをつける。
ほんとはここにも特殊工具(ピストンロッドプーラ)がある。ピストンロッドの雄ねじはカワサキの親切なマニュアルによるとM10*1.0のネジらしい。
合う高ナットがあれば、それと全ネジ棒をかってくりゃいいけど、無いよ!普通はM10の細目はピッチ1.25だよ!
高ナットは普通標準ピッチのやつしかないからピッチ1.5だよ!1山しかかからないよ!
そんなわけでタイラップ。1山がけでも何とかできる作業と思われるのでM10の高ナットと全ネジ棒を使う手もあり。
でも気合があればタイラップでできるからイラネ


フォークオイルを入れる。必ず倒立用を入れよう。正立用を入れるとガチガチで動きません。たぶん。倒立用は水みたいにサラサラ。
ピストンロッドを10回以上上下し、エアを抜く。
上に動かすときは特に注意!勢いよくやるとオイルの噴水が!
下にやるときはタイラップの力では無理なんでドライバーとかでゆっくり押す。
これでもかってくらいエア抜きしたらアウタチューブを上下させてまたエア抜き・・・

あとはオイルレベルを確認して、カラーをいれて、初めのようにアングル材を使ってカラーを押し下げ、トッププラグをつける。
このときミスってオイルを噴出させると(絶対一回はするけど・・・)オイルレベルあわせからやり直しなので気をつける。
僕は3回くらいオイルレベル調整した・・・
ピストンロッドが下がっていくので、分解時よりも難易度高いです。きついです。

トッププラグを取り付けたら、車体に取り付け!完成!
試乗!最高!

作業時間:2本で12時間くらい・・・
かかったお金:部品代だけ
二度とやりたくない度:Priceless

根性さえあれば倒立フォークのオーバーホールは怖くない!
でも、まともな人は特殊工具買うかショップに任そう!